おたくなんて畏れおおい

アニメ好きな人が「おたく」とは限らないのだよ。

そろそろいいかな 「シンゴジラ」

大好き!!もうネタバレしてもいいでしょう。

 

良い意味でも悪い意味でも、日本人にしか描けない映画です。

今のこの時代を生きているからこそ、ただのお話に終わらない、現実の痛みを伴った

作品と捉えています。

東日本大震災を経験しました。放射能が近くにあるものだと感じました。

原発が2発も落とされた恐怖も思い出しました。

それにも拘わらず平和ボケした最初のシーンも、今見ている現代の日本です。

 

「あなたの国では誰が」との台詞が強調されて出てきますが、

その台詞はあまり心に響きません。

「動くの?」「そりゃ生き物ですから」

この会話のほうが、ずっと観客の心に残る台詞だと思います。

見識者会議も笑った、笑った。笑いごとじゃないのに笑った。

「政治が悪いのは、老害のせいだ」

そう言ってない所も好きです。

勿論それは正しい。時代への柔軟性のなさは、筆舌に尽くしがたい。

けれど、老いた人が言う言葉も、日本らしい発想です。

大きすぎる政府に、役人たちも苛立っています。

皆が「無駄な会議ばかり必要だ」と言っています。

誰も望んでないのに、形式ばかりの印が必要な仕組みになっています。

老いも若きも思っているのに、何とも出来ないのです。

これが選挙のある私たちの国です。歯がゆくてなりません。

 

そこにゴジラがやってきます。非常事態にその日本がどう立ち向かうのか。

 

必殺最終兵器は、口からポンプで凝固剤を流し込む、あのチマチマ作業。

地味。じみじみじみ。

ただ、その前が凄い。戦後、日本が血を吐きながら築きあげた全てを

ぶち込みます。文字通り、全て。

世界一の新幹線、複数の精度の高い在来線、沢山の高層ビル群…。

日本の誇るもの全て全て、日頃生活に利用している馴染みのあるもので、

ぶっ叩きます。

知ってるものなので、自分も参加してる気持ちで拳に力が入ります。

そこで登場するのが、チューチューなのですが…。

 

映画では、スクラップアンドビルド、と立ち上がるために使われていますが、

「ここまでスクラップにしないと立ちなおせない状況にある」との、

現在の日本の閉塞感への皮肉を感じさせられました。

 

<やっつけてハグし合って、これで世界の平和は救われた、君はヒーローだ!>

こうならないんですよ。普通なるでしょう?!

強大なヒーローも出ないし、凍結させるだけで、殺傷出来ない。

素晴らしいでしょう、この映画!あまりにも現代日本!

 

海外でウケていても、それは私たちとは全く違う視点の評価です。

この感覚が分かるとは、とても思えません。

 

最後の尻尾の見解も色々ありますが、もうこの映画だけで十分です。

日本ってこういう国ですもの!

 

ということで、4回映画館に足を運びました。飽きない!でも、もう行かないよ。